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ある夜の秘恋の噺



とにかく、マジで風邪を引くのでなんとか辰壬さんを川から引きずり出し…、
「どうしようこの人裸だった…!」

とりあえず俺の着てきたコートだけでも…って変態紳士作ってしまった…!
仕方ない、ここはケータイで竜友に着替えを要請するしか

「…ってあれ、そういえばケータイ、」

案の定、ズボンのポケットから。ずぶ濡れになってしまわれたケータイが出現した。泣きそうだ。


うぉぉ万事休す…!



「仕方ない…この手は使いたくはなかったが…」


俺の真剣な様子に、真っ裸にコートだけ羽織った辰壬さんも緊張した面持ちで見守っている。俺は、呼吸を落ち着けながら息を吸い込んだ。そして、





「…にゃ、にゃー…」






…結構、真剣にやったんだけどな「どこだ子猫ちゃあぁああぁあっ!」

「…トウヤ、明日から離れて歩いてくれるか…?」


小脇に猫じゃらしを大量に持った同級生が、ものすごい速さでカメラ携えて来たら。
それはもう、ドン引きするのも仕方ないよな?


***

「なるほどな、お前の言うデカいヒヨコがまさかの露出狂とはな……さすがに、泣くぞ?お前がドン引きするくらいガチで泣くぞ?」

「ドン引きの点で言うなら、もう手遅れだよトウヤ」


トウヤは、俺の状況説明に納得してくれたのか家から服を持って来てくれるらしかった。
もちろん、竜の話なんかはしない。
遠い親戚の人が、誤って川に落ちただとかそんなことを口走った気がするが、
今思えばよく納得してくれたもんだと思う。流石トウヤだ。断じて誉めてはいない。


「……」


俺とトウヤが話している間、辰壬さんはずっとトウヤを睨み付けていたが、当の本人は気にしてないようだった。


トウヤが一旦自宅に帰ってる時に、辰壬さんはまた抱きついて来た。戸惑いながらも、その頭を撫でてやると更に抱きつく力は強くなる。
一体何事やら。



「……アイツは……」


その時、辰壬さんの表情がまるで敵意丸出しだったなんて。
抱きつかれてた俺には知る由もない訳だが。




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あきゅろす。
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