ある夜の秘恋の噺
4
結局。
郭哉はしっかりデザートのプリンまで食べきってから、この状況に気が付いたように。怪訝な顔をした。
「……不法侵入?」
「郭哉、自分で連れ入れておいてそれはないな」
竜友が皿洗いをしながら呆れたようにツッコミを入れる。
侵入者呼ばわりされた彼らは、特に気にした様子もなくくつろいでいて、
(なんだこの状況は…)
台所から、その様子を見ていた竜友は何やら頭が痛くなるのを感じた。
***
「…粗茶ですが」
「いやぁ、悪いですねー竜友さんにお茶淹れてもらうなんて」
「…ん、熱い…」
「竜友、茶菓子ないのー」
(カオスすぎる…)
この部屋で唯一の常識人は間違いなく竜友である。
故に、馴染み始めた侵入者達と息子のように育ててきた郭哉の、和みムードについて行けなかった。
「…それで、アンタ達だれ」
茶菓子を貪りながら、郭哉はやっと彼らを見た。
眼鏡の青年が、安堵のため息をもらして微笑んだ。
「やっとですね、かぐや様」
(やっと話が進む…)
気苦労は絶えない竜友である。
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