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君がための愛を!
いたずらに





「…ん?なんだか下が騒がしいなぁ、夢吉?」


前田慶次は、執事服を着崩したままひとつ欠伸をした。

利家と松が織田家の料理長に就職したオマケに、彼はこの屋敷にやって来たのだが職務怠慢も甚だしい。


今日も今日とて。
織田邸の屋根の上で、日向ぼっこよろしく寝転がっていたのだが。
何だか屋敷が騒がしい気がする。

頭の上の夢吉も、同意するように頷いている。


「なんだいなんだい、俺がちょっかい出してもこんなには騒がしくならないのにさぁ!」


しかし、一体なんだろうか。
この前浅井夫婦が訪ねて来た折りには、浅井さんと『魔王』さんが口喧嘩したから騒がしいっちゃそうなんだけれど。

今回はなんだか、良い事の騒がしさだ。


「こいつは良い風向きだよ、夢吉ぃ!」


文明開花で、日本は大きく変わった。異人さんも、ざんぎり頭も、ドレスもみんな面白い!だってそれは、長い間日本が拒んできた異国の文化だから。

つまり、新しいものには魅力があるんだ。
そこだけは『魔王』さんに同意できる。


「…よし!俺もいっちょ参加してこようかな!」


祭りには参加するのが流儀だからね!



***

遠梨、という名を貰った少女はかなりパニックになっていた。


先ほどから秘書さん(もとい、濃姫さん)がどこかに電話を掛けて、数え切れない服や靴、果てはアクセサリーが部屋に運ばれてくるのだ。

因みに、部屋は洋風で天井は高く大きな窓がある。


「遠梨殿、此方も合わせてみて頂けませぬか?」

料理長さん(もとい、松さん)はまるで姪っ子でも出来たかのように、楽しげに服を選んで遠梨に着せている。


「…ふーん、馬子にも衣装って事だな」


「…あ、」


確か、この少年(もとい蘭丸くん)も織田家の養子に入っているらしい。犬の散歩に行って来たらしい彼に、信長社長は一体何を渡していたのだろう。

じっ、と彼が貰った袋を見つめていると「これは蘭丸が貰ったものだから駄目だっ!」と彼は背に隠して私を睨み付けた。




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あきゅろす。
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