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朔の夜に咲く




【信州】

「石田殿から、召集の文が…!?」
真田幸村は、少しばかり驚きーーそして燃え上がった。

「うぉぉお!佐助ぇえ!遂に、徳川殿と刃を交える事が出来るのだな!」


「さぁ、石田殿がそれを許してくれるかねぇ」


佐助は唸る。
予想外であるからだ。


「まだ、九州をまとめてないハズだろ?それに…小早川も…」

間者(スパイ)によれば、交渉すらしていない。
このままなら、小早川は傍観する……いや、隠れて震えている、の方がしっくりくる。


「徳川勢といえば…、北条の爺さんと前田家に最上…は、何故か弱体化してたな。雑賀集も付いたとなれば、石田軍との戦力は拮抗状態だよね。」


「ふむ、そうであったか!」


「はは、理解してる?旦那ぁ」

「案ずるな、佐助ぇ!
詰まりは、この幸村が日頃よりも激しく戦えばーー西軍の勝利は固いと!」


「…旦那独りが頑張ってもなぁ」


それより、少し気掛かりがある。


これも間者からの情報だが…咲耶が奥州・伊達軍の元に姿を現し…
三河に向かう、と。


しかし、言わぬが吉と佐助は考えていた。


「(独眼竜が直々にお供するんじゃ、手は出せないよなー)」

それに、移動中を狙わなくてもいい。三河を目指すなら…多分巻き込まれるだろう。


「関ヶ原、ねぇ」

戦乱の世が選びし戦場となろう野原をーー佐助は思い浮かべ、ため息をついた。

「マズいかもなぁ」

伊達は……
徳川に着くかもしれない。
ていうか、独眼竜の血の気の多さはーーそこで槍を素振りしている主よりも盛んだし。

「どっちにしろ、乱入してくるよなー」


佐助の読みは、限りなく…正解に近い。


*****
【奥州】

「…よし、動いていいぞ」


長い時間がかかったが、その分綺麗に染め上げられた黒髪にーー自然と微笑んだ、小十郎。


「どうでしょう、政宗様…」



と、声を掛けて。
伊達政宗は眠りこけている事に気が付く。

退屈だったのだな…と思う。

「ありがとう、小十郎」


咲耶は、まじまじと髪を見つめて…「借りができちゃったね!」と笑う。
「…申し訳ねぇと思うなら、今回の件、政宗様にお任せして…お前は奥州に残ってくれれば、有り難いな」


「う…」


それは、と咲耶は苦笑いするが…小十郎は本気であった。


「わかってねぇな、咲耶?」


するり、と咲耶の着物の帯をーー小十郎は引いた。

「な、何し…っ!」
慌てて、着物の襟ををかき合わせようとする咲耶の片手をーー小十郎は掴んだ。

「未来人だろうが、神力を持とうが、お前はーーただの女だ。武士でもねぇ、公家でもねぇ。
力無いーー民草だ。」


怖い、暗いーー目に、咲耶は身の毛がよだつのを感じた。


「…また、斬られたらどうする?次は、この命すら消えたら……!」



小十郎は、真撃な瞳で訴えかけてきた。

私は…



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※またエンドです。
※筆頭が不憫です。

なんでもOKな方は下へ↓




【片倉エンド】


「……心配、掛けてるんだね。私…」

ちょっと、驚いた。
小十郎がそんなにも心配してくれていたなんて。


ちょっと、嬉しい。


「…何、笑って居やがる」


「…ふ、ふ。ちょっと、嬉しくて…」


「嬉しい、だと?
…咲耶、本当にお前は危機的状況だって事を理解して…」
「何もしないよ」


「……」
「小十郎は、優しいから」


怒っていた顔が、崩れた。
困ったような、真っ赤に羞恥した顔だ。


「…それに、小十郎だったら別に嫌じゃな「わ、わかった!何も言うな!」

掴んだ手を慌てて離す小十郎。その流れで、着物の帯を結び直してーーため息をつく。


「本当に、勘弁してくれ…」


「…私、残るよ。奥州に…」


その言葉に、小十郎は心底ホッとしたような笑みを浮かべた。
「そうか…」

「…心配してくれる人を、安心させてあげたいもんね?」

「…俺は、お前の親か何かか?」

呆れたように、言う小十郎に。


「…大切な、人ですよ?」


と、微笑んでみた。
小十郎は、くしゃりと笑って……咲耶の体を抱き寄せた。


*****

あの後、筆頭に家康への文をお願いしてーー
私は奥州に残った。


関ヶ原の戦い…その最中で、石田三成が命を落としたと言う話を聞き、気持ちは落ち込んだしまったけど。


「…咲耶」


安心できる、場所が出来たから。
戦も、血も、見る必要のない……


大好きな、奥州の伊達軍。
その、片倉小十郎のそばで、


私は、生きていく…。



【了】



※夢主が冒険を止めてしまったら、そこで試合終了です。
※無理やりっぽいですね。

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