短編小説 この世界からの脱出 ナンパ野郎と不思議っ子のお話。 4月11日日曜日。 とある有名な犬の銅像の前で、私は変な男に絡まれていた。 『この世界からの脱出』 「君はさ、作れた道を歩くだけなんて…つまらなくないのかい?」 「つまらなくないです。むしろ楽です。」 「若いのに楽ばっかりしちゃダメだよ!」 「あなたも若いでしょう?」 「若いけど?」 「なら私の気持ちわからない?」 「わからないねぇ。僕は自由を求める主義だからね。」 「私、十分自由にしてますけど。」 「君がしているのは、"自由のふり"だ。」 「じゃあ私"ふり"でいいです。」 「ダメだ!若いからこそ無茶をするべきだ!!」 「訳がわからないです。」 「だからぁ、 『ボクと一緒にこの世界から逃げ出さないか』 と言いたいのだよ! 「お兄さん、あなたが今している行動を何と言うか知っていますか?」 「何と言うのかね?」 「"ナンパ"って言います。」 「ち、違うよ!」 「あ、彼氏が来たわ。」 「人の話聞けよ!てか、彼氏……ってえぇーー!」 「ええ。じゃあ、そういうことで。」 私は、変な男を残して、彼氏と一緒に渋谷の町を歩いて行った。 [*前へ] |