「じゃあ、一応ナナリーとは顔を合わせたわけなんだ?」
「まだ思い出す前だったけど、ね。弟のルーって子、助かったみたい」
「……それっきり、だけどな」
「ロニ……ナナリーがいないと、やっぱり寂しいわね」
「おいおい、弟ごとさらってくるぐらいの甲斐性見せろよな。そんなんだからいつまで経ってもロニなんだよ」
「ちょっと待て!色々突っ込むべきなんだろうがちょっと待て!」
「所詮ロニでしかないからな」
「ジューダス!お前いつからレイスに合わせるような非情な奴になっちまったんだ!」
「フッ、馬鹿を言え。僕は主に弄られるくらいなら先に誰かを弄っておけという立派な信念の元に行動しているだけだ。人でおちょくる事を心から楽しんでいるレイスなんかと一緒にされたくはないな。心外だ」
「俺からしたらどっちも同じくらいにタチ悪いわコンチクショウ!」

ダリルシェイドに行く道すがら、俺達は歴史が修正されてからのお互いの近況についてを語り合った。まさかエミリオが意識不明で(とはいってもただ寝ていただけらしいが)動けない状態だったってのは驚きだ。

「いたっ、痛い痛い!」
「ん?」
「ちょ、ちくちくするんだって!木の枝!」

カイル達は大木から攻撃を受けた!

「あ、あれ?何か違くない?」

こうかはばつぐんだ!

「絶対違うから!ホント違うから!黄色い電気ねずみとか生息してないからこの世界!任○堂に怒られるよ!」
「な、酷いわ!ツッコミ属性なカイルなんて嫌いだーっ!」
「うおっ!いきなり振り向くなよレイス!」
「め、目の前スレスレを大量の葉っぱが通り過ぎましたよ……」

ぐるぐるっと振り向く度に、どこから絶えず非難の嵐。

「いいさいいさ……どーせ俺なんて皆に邪魔扱いされてハブられて、一人寂しくジェンガでもしてりゃいいんだろー」
「どこまで寂しいんですか。ていうか、一人であえてジェンガやろうとしないでよ、余計に虚しいから」
「上手く成功しても喜びを分かち合える相手はおらず、終始自分のターンだから崩すのも自分だけ……」
「あ、あのねレイス!私も一緒にやってあげるから!」
「放っておけリアラ。シェイドに構っていると人生を見失うぞ」
「坊ちゃんのドケチ!お前なんてやっぱり守銭奴の弟だ!」

木を担いだままやけくそでぐるぐる回って周りの被害を拡大していると、不意にこつんと頭に衝撃が。
皆は自分の髪やら服やらにひっついた葉っぱを払うのに格闘してるから、俺へと与えられたダメージ(小)には誰一人気付いていない。反応ないって寂しいんですけど!
リアルに石でも投げやがったかどこのどいつだコノヤロウって勢いで振り返ってみれば。

「ドケチが人に物をやるか」

俺の頭部を強襲したと思われる物体が足下に一つ、緑の草原の中で目立って輝きを放っていた。



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