inviso firmamento(嫌われた大空) 4 「俺らの事、知ってんだな」 青峰がそう言うと、ツナはゆっくりと頷いた。 先程よりかは少し落ち着いたような顔をしている。 しかしそれは何処か寂しげで、青峰が彼を気にかけたその時。 じっとしていた赤司がゆっくりと口を開く。 「……沢田、すごく聞きづらいんだけど……」 「な、何、かな?」 ツナがぎこちないため口で聞くと、赤司は続けた。 「君の事、言える所だけで良いから教えてもらえないか?」 「っ! ……それ、は……」 ――やっぱりな。 青峰はそう思った。 普通に考えれば当たり前だろう。 いきなりそんな事を聞かれて、答える人物がいるわけが無い。 赤司が尋ねた為か、ツナは辛そうな顔になっていた。 加えて彼等とは初対面だ。 そうそう信じられるわけがない。 皆してそう思った時だった。 赤司の家のインターホンが鳴り、珍しく紫原が立ち上がる。 「どちら様ですか?」 『――あ、私リボーンと申します。 親御さんから頼まれまして探しているのですが、こちらに沢田綱吉という少年が来てはいませんか? 見かけた方がいるようなんです』 「っ! リボーン!」 相手の名前を聞いた途端、ツナの表情はわかりやすく明るくなった。 どうやらやって来たのは彼の味方らしい。 周りのメンバーを見回した後、赤司が口を開く。 「紫原、OKを出して」 「どうぞー、お入りください」 『はい、お邪魔します』 その言葉の後少しして、玄関の扉が開く音がした。 居間に入ってきたのは、ボルサリーノを被り真っ黒いスーツを着たどこか怖い雰囲気の男だ。 まるで、マフィアのような。 「ツナ、大丈夫か」 「む、さっきと話し方が違うのだよ」 緑間が呟くと、リボーンと言うらしい相手はため息を吐いた後に口を開く。 「第一印象は大事だからな。 当たり前だろ」 「り、リボーン? さすがにそれは……」 「平気だろ、こいつらはどうせ何も出来ねぇ」 ……どうせ、何も? 意味が分からない上にいらつかせる言い方だった為、彼等は明らかに警戒した。 「ツナ」 「……話さないよ。 赤司君達は、関係しちゃいけない」 「あめぇ、甘過ぎるぞツナ……俺が来た時点で決心してんだろ、腹を据えろ」 この時の彼等には2人が何の話をしているのかもわからず、自分達の目の前にいるこの少年がそんな世界を生きているなんて、誰も思いやしなかった。 そして、まさか自分達が関係するとも。 [*前へ][次へ#] [戻る] |