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inviso firmamento(嫌われた大空)
0-1
 この世の中には『関わってはいけない人間』というのがいる。

例えば、並盛の雲雀。
例えば、黒曜の六道。

しかしそんな彼等を仲間とし、まとめあげる少年がいた。

彼の名は沢田綱吉。
仲間に振り回されながらも楽しいのが、彼――ツナの日常であった。

夏山百合(なつやまゆり)が並盛中に転校して来るまでは。



 彼女はツナの仲間をたぶらかし、『彼が自分に暴力を振るう』と嘘を吐いた。
仲間達は一部を除いてそれを信じ込み、ツナを苦しめた。
暴力で、言動で。



――そして、今日も。



 鈍い音が響く。
ここは並盛商店街の路地裏。
余程近づかなければ気付かれない場所だ。

「が、はっ!」
「おい沢田、そろそろ認めろよ」

先程までくわえていたタバコを手に銀髪の少年がしゃがみ込み、円の中心にいる少年――ツナの前髪を引っつかんで顔をあげさせ、そう口にする。

「ちが……れは」

先程から何ら変わらないそれを聞いて銀髪の彼は手を離す。
途端ツナは顔から地面に倒れ込んだ。

「……認めねーとか最悪なのな。 百合が可哀相だぜ」
「全くだ。 こんな野郎の右腕を名乗って喜んでたなんて……ありえねーぜ」

そんな事を言いながら、彼等はツナを蹴飛ばす。
壁に背中をぶつけて酷く咳込むツナに銀髪の少年が近づくと、周りにいた2人以外の少年達が口を開いた。

「獄寺、最後にあれで今日は止めといてやろーぜ」
「死にたくなるくらいの苦痛を与えても生きてんだ、もうやっても平気だろ」
「――だな」

銀髪の少年――獄寺は短く返事して、タバコをつまむように持ち替える。
と、その時。

「何をしてるんですか!?」

聞き慣れない少年の声がして、獄寺はタバコを落とした。
その場にいた全員が慌てて逃げ出し、ツナは声の主らしき少年を見る。
自分と同年代の、水色の髪の少年だった。

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