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inviso firmamento(嫌われた大空)
2
『うわぁぁぁぁぁあぁぁあっ!』

 叫び声が聞こえて、紫原と黄瀬は慌てて階下に向かった。
聞き覚えの無い声だった為、きっとあの気を失っていた少年だろう。
そう思いながら居間に入って彼等は驚いた。
少年に弾かれたのか、右手を押さえる青峰。

『ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい――っ』

謝罪の言葉を異常なほど繰り返す少年。

「赤ちん、何が起きてんの?」
「あ、待ってください紫原君。 彼は今起きたばかりなんで、新しく見る人が増えたら慌ててしまうと思います」

紫原は赤司に聞いたのだが、ツナの近くに水の入ったグラスを置いた黒子がそう言う。
とりあえず今は彼に従っておこうと思い、紫原達は一度居間から出た。
その直後だった。

『――落ち着け』

赤司の声が聞こえ、少年の声が小さくなる。
紫原は気になったのか、黄瀬と共に扉の隙間から覗き込んだ。
相手の背中を撫でながら、赤司が少年を宥めていた。

 この時紫原は、何故か初めて会ったばかりの少年を守らなければならない気がしていた。
普段なら他人などどうでもいい彼が、だ。
一体この違いは何なんだろうと、紫原はふと首を傾げた。

『ここは、並盛じゃないよ』
『……並盛じゃ、ない?』
『そう。 ここには君の敵もいない』
『……』

 少しして泣き声が聞こえなくなった頃。

『紫原、黄瀬、緑間――何覗き込んでるんだ』
『……え?』

赤司が彼等を呼ぶ声が聞こえた。
そして、少年の疑問に思う声も。

――あちゃー、バレてたか。

そう思いながら彼はドアを開ける。
中を見れば若干恥ずかしそうな赤司とあの少年、いつも通りの黒子、そして少し気まずそうな青峰がいた。

「みどちん、いつの間に増えたの」
「お前達2人が視界に入ったのだよ」
「なら言って欲しかったっス」
「――3人とも、まず言う事は?」

赤司に静かに怒られて、彼等3人は揃って謝る羽目になった。

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