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inviso firmamento(嫌われた大空)
1
 並盛町と彼等の通う帝光中のある街は、隣同士だ。
加えて赤司の家はこの中で一番並盛に近い。
故に彼は提案したのだが、他のメンバーは皆、赤司が世話をすると思っているようだ。
彼としては青峰か黄瀬、もしくは桃井辺りに任せようと思っていた。
しかし同時にこの少年がどんな人物かも気になっていた。
そんな事を考えながら歩いていれば、彼の家の前に着く。



――相手が目を覚ませば何かわかるだろう。



この時の赤司はまだ、そんな甘い事しか考えていなかった。



「黄瀬、中に入ったらとりあえずソファーに」
「分かったっス」

 赤司は鍵を開け、黄瀬を先に入らせた。
人を背負っている相手に無理をさせるわけが無い。
大事な『戦力』なのだから。
少しして他のメンバーも中に入り、赤司達は少年――沢田綱吉の目が覚めるまで待つ事にした。

 彼をソファーに寝かせてしばらくしたが、なかなか気がつかない。
その間にも紫原と黄瀬は赤司の部屋に漫画を読みに行き、桃井は途中で『用事がある』と帰ってしまった。
緑間も今少し席を外していて、その場にいたのは彼と青峰、そして黒子だけ。

「――黒子。彼が起きた時の為に、コップに水を入れてきてくれるか?」

赤司がそう頼むと、意味がわからないと言いたげな顔をしつつも、黒子は台所の冷蔵庫に向かった。
直後、赤司の目の前の青峰がそわそわし始める。

「大丈夫。 もうじき目を覚ますだろう」
「は? 別に俺は心配なんか」

彼が声を出した直後、隣から呻き声が聞こえた。
青峰はツナに軽く触れる。
彼はゆっくりと体を起こし、目を開いた。
しかし、その直後。

「うわぁぁぁぁぁあぁぁあっ!」

酷く大きな悲鳴を上げてツナは青峰の手を振り払った。
目は大きく見開かれ、明らかに怯えている。

――尋常じゃない。

赤司は一瞬でそう理解した。

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