inviso firmamento(嫌われた大空)
9
時が経ち、週明けの月曜日。
ツナはいつものように1人で登校していた。
正門まで来ると、炎真達が視界に入る。
炎真や紅葉と目が合うが、彼等は反らしてしまった。
ひどく気まずそうな表情で。
彼等がそう行動するのにも、夏山百合が関わっていた。
彼女が転校して来たのは1ヶ月前だ。
来て早々にツナに目をつけ、彼にその位置を譲るように言った。
獄寺や山本の友人という意味もあったが、真の意味は『次期ボンゴレ10代目』であった。
当然ツナは断ったのだが、彼女はそれを聞くと突然自分で自分を傷つけ、叫び声をあげる。
その場に駆け付けたクラスメート達は、様子を見てツナがやったと判断した。
クラスメート達の中には獄寺達守護者もおり、ツナは、彼等なら話を聞いてくれると思った。
しかし
『最悪なのな、“沢田”』
『……こんな奴だったなんてな』
彼等は、ツナを裏切った。
しかし炎真達はツナを裏切ったわけではなかった。
その証拠に、話し掛けはしないが、時たま、話したい事をメモした紙をツナに渡している。
しかし、あからさまに支える行動をすればツナがより傷つく事になるだろう。
そう考えて、彼等は行動していた。
ツナが教室に着くと机に菊の花が置かれていた。
座ろうと椅子を引き、机の上が目に入る。
ひどい言葉ばかりが書かれ、汚されていた。
(俺は、やってないのに)
そう思った直後、ツナは泣きそうになった。
しかしそれを堪(こら)え、再びかばんを持つと教室を飛び出した。
偶然、入ってくる山本とすれ違いになる。
「今の……別に良いか」
彼はそう呟き、教室に入った。
彼等にとっても盲点だったのだ。
まさかツナがあんな事になるなど、わかるはずもなかったのだ。
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