Subsequent Descent
5
しばらくして戻ってきたタルボの手には、薄く銀色がかった石があった。
慶喜が一体何かと尋ねると彼はそれを突き出して口を開く。
「お前さんのリングに決まっとるじゃろうが。 さっさと持たんか」
そう言われた慶喜は慌ててそれを受け取った。
彼の様子を確認したタルボは、にっこりする。
「お主、慶喜と言ったか?」
「……は、ハイ」
「あの少年によく似ておる。 生き写しのようじゃ」
「あの少年?」
「10代目じゃよ。 お主も彼のように、覚悟した目をしておる」
そう言われ、慶喜は驚いた。
相手は自分が生まれ変わりだと知らないはずなのに、と。
勘だろうと思う事にして、彼は石を持つ手に力を入れる。
「……確か、炎を灯せばいいんですよね」
「ほう、知っておったか」
そう言うとタルボは笑みを浮かべた。
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