Subsequent Descent 1 翌朝、慶喜はいたって普通に目を覚ました。 リングの入った箱を鞄の奥にしまい込み、その上に箱が傷つかないよう物を入れる。 準備を終えると1階に降り、朝食をとるといつもの時間になったのを確認。 至って慌てる様子もなく彼は家を出た。 ちなむと昨日。 会話の後、何故リングがあるのか慶喜は父に尋ねた。 するとそこには意外な事実があったのだ。 14代目が持っているのはよく出来た偽物(フェイク)。 そして彼女を止める為、慶喜は守護者を集めなければならないらしい。 それが意味するのは、現ボスと次期ボス候補の正面衝突だ。 「高2の春なのに、これから卓球部が忙しくなるのに……はぁ」 父との会話を思い出して若干落ち込んだその時、突然後ろから肩を叩かれて慶喜はビクッとした。 「大丈夫? 沢田君」 声を聞いて誰か把握した彼は後ろを向き、微笑みながら口を開く。 「黎雨(れいう)ちゃんか……びっくりした」 「ごめん」 そう言って慶喜に申し訳なさそうに微笑むのは、同じ高校に通う女子卓球部のメンバー。 そして彼の所属する男子卓球部部長の妹でもある久堂黎雨(くどうれいう)だった。 [次へ#] [戻る] |