その声は霧散する
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しかし、このまま消えるのは、あまりにも――悲しい。
例え何処かで歪んでしまっていたのだとしても。
せめて、始まりは。
事実は伝えねばならない。
そう思い、沢田綱吉に全てを教えた。
私が彼らを裏切るに至ったわけを。
強いボンゴレに執着するわけを。
――見抜かれてしまいましたよ。
私の目的がいつしか、『弱者を守るための強いボンゴレ』ではなく『周り全てが従う強いボンゴレ』になっていたと。
『大空』
あなたの考えは、どうやらまっすぐ、受け継がれているようだ。
さらには、沢田綱吉はエレナが私に感謝していると言った。
……私には、すぐに嘘だとわかりましたがね。
たとえ超直感でも、故人の心はわからない。
――だのに私は、少しばかりそれを信じたくなってしまった。
故に私は彼にボンゴレの行く末を任せると決めた。
――そんな折だ。
彼らを――かつての『家族(ファミリー)』を思い出したのは。
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