16 「そういえば、けっきょくおにいさんたちはだれなの?」 王子達がガキンチョに素性を聞かれたのは、たき火を囲んで夕食を口にしている時だった。 答えるわけも無いボスはそのまま肉を食ってたから、俺らは『どうしようか』と目を合わせる。 しばらくしてもそいつの疑問を呈する目は俺らに向けられてた。 それに仕方ないと思ったのか、ルッスーリアが口を開く。 「貴方、異世界って信じる?」 疑問に疑問を返されるとは思わなかったんだろーな。 ガキンチョは困ったような顔をした。 でも、しばらくすると小さく頷く。 「そう――信じるのね?」 「うん……もしかして、おにいさんたち――ちがうせかいからきた『ゆーしゃ』さま?」 『勇者』って言いたかったんだろうな。 でも、長い間誰とも話さずにあの地下にいたんだろ。 うまく発音できてなかった。 そんなガキンチョに、俺らの一部は思わず同情する。 そんな中 「勇者か……ハッ、一番縁遠い言葉だな」 ボスははっきりとそう言って退けた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |