1 目を覚ましたら、真っ白だった。 ふざけてるわけじゃなく、ガチで。 天井は無くて、同じように床や壁も無い。 だって境目とかねーもん。 真っ白い中に俺と、俺の知ってる奴らだけが浮かんでる。 「何ですか此処ー」 「夢じゃないわねぇ」 まだカエルじゃなくてリンゴを被っているフランに、わざわざ自分の頬をつねって確認するルッスーリア。 「一体何が……」 「どこだ此処はぁ゙!」 やけに落ち着いているレヴィに、いつもと何も変わらないスクアーロ。 そして向きを変えれば、こっちも普段と全く変わらない 「……」 俺等のボス。 つうか何でいるのがマーモンじゃなくてあいつなんだよ、ありえねー。 そんな事を考えていた俺は、不意にルッスーリアから声をかけられる。 「ベルちゃん、何が起きてるか予想できる?」 「無理に決まってんじゃん、何で俺に聞くわけ? つうか夢じゃないなら幻覚の可能性は?」 そう言って俺はフランに目を向けた。 幻覚と聞こえた時点で気にしてたのか、あいつは普通に口を開く。 「0に等しいですねー、こんな空間は作れませんよー……師匠が作ったらもっと禍々しいですしー」 「誰もあいつが作ったとは言ってないし」 「あれ? そうでしたかー、すみませーん」 聞き慣れたはずの間延びした声にイラッとした俺は、気が付けばあいつにナイフを投げつけていた。 [次へ#] [戻る] |