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優しい愛し方
7
それが良い意味だろうと、悪い意味だろうと、あなたの一番に俺はなりたい。
征生はそう思っていた。
御木の一番に、なりたいと。


郁の去ったカフェで征生は一人読書をしていた。
何となく今は、部屋に帰りたくないと思ったからだ。
今感情が荒れている。
こんな状態で御木になどあったら間違いなくなにか良くないことを起こしてしまう。
だから、丁度読みかけの本もあったし暫く時間を潰してから帰ることにしたのだ。
「海、いくかな」
遂に本が読み終わり、気持ちもだいぶ落ち着いてきた。
だが、ヤハリ何となく帰る気にならず、ふと海のことを思い付いた。
征生は勘定を済ませると車にのって海に向かった。
夜中と言うこともあって人はいない。
車から出ると、潮風がほほを撫でた。
征生は目を閉じて風を感じた。
気持ちが和らいでいく。
征生の先程のことで高ぶった気持ちは、落ち着いてきた。
別に郁と御木の関係に嫉妬しているわけではない。
ただ本当に、親切心で云ったのだ。
なぜなら、御木は郁の手に負える男じゃないからだ。
征生にはあの二人がうまくいくとは思えない。
だから、嫉妬などしないのだ。

「ミキ」

「ミキ...」

俺を見てくれ。

征生の言葉は御木には届かない。





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