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人間嫌いとサイコパス
お嬢様と使用人
朝がすごくドタバタしたものだったせいで昼はそれはそれは脱力したものでした。
どうやら僕はとある国の貴族らしく、なんかでかい屋敷に紅を含む使用人たちと、面白おかしく暮らしているらしい。
何故僕が女物の服を着ているのかは、紅の趣味らしい。
全く困った執事だ。
それでも、これは夢なんだと思えば、耐えられるものだった。
だって、こんなに、誰かに愛されているのだから、この夢は、存外嫌なものではないのかもしれないと思う。
少なくとも、幼き日の夢よりは素晴らしいものだ。
紅のセクハラには困ったものだけど、ソレも今に始まったことではないし、だんだん慣れた。

「眠...」

バルコニーで微睡んでいると不意に、肩に何かをかけられた。
膝掛けだ。

「風邪引きますよぉ」

「べに......」

「どうしたのぉ、お嬢様」

「しゅうってよんで...」

「.........しゅー」

「えへへ、おやしゅみ」

ウトウトとした頭で、名前を呼んで欲しいと強請ると紅は優しく囁いてくれた。
僕はそれに安心して意識を手放した。




「こんなところで寝るなんて、相変わらず無防備なやつだ」

愛おしい脩。
誰にも渡さない。
今日はもう、このままこの子を部屋に運んで仕事に戻るか。

「軽いなぁ、もっと性の付くもの食べさせた方がいいか?」

抱き上げた身体は驚くほどに軽い。
この体で俺のことを受け入れるんだから、ほんと凄い奴だよ、脩。

部屋のベッドに横たえて、体を余すところなく視姦する。
起きているこの子にやっても良いんだが、きれいなこの体を隠さず見たい欲求には勝てない。
起きているこの子はきっと恥じらって体を隠すから。
露出の多い服を着せるのは脱がしやすいからと、恥じらう姿が見れるからだ。
全くこの子と居ると退屈しない。
何て愛おしい存在だろう。

コンコン。

「誰だ」

「あら?お昼寝中か」

「勝手に入ってくるな、政国」

無遠慮に部屋に入ってきたのはこの屋敷の料理長兼防諜班の班長である政国だった。
いや、政国でなければこの部屋には入れないだろう。
無闇に入る奴は俺が殺すから。
政国は俺と互角、または少し劣るぐらいの実力者だ。
脩の為とはいえ目の前で殺し合いはしたくない。
あの子には血なんか見せたくないから。

「で?何のようだ」

「ああ、さっき私の班の奴が掴んだ情報なんですが、あの男が帰ってくるらしいですよ」

「......いつだ」

「明日の午後らしい」

「急だな」

「さぁ、私たちの存在に気がついたのかもしれませんね」

「あの男は、存外賢いと?」

「馬鹿じゃ、私達の事なんて気付けないと思いますよ」

「脩を何処かに逃がさなくちゃな」

「国内はダメですね、やつの手が回ってる」

「何処が良い?」

「アメリカなら...」

「「誰だ!」」

殺気が扉から漂ってきた。
俺たちは仕事柄、気配には敏感だがその俺たちがこんなに接近を許すまで気がつかないのは、相手も手練れである証拠だ。

「お前たちか、最近屋敷に入ったネズミというのは」

扉に背を預けて立っているこの男は、脩の義父で、俺達があの男と言って蔑んだ奴、この屋敷の主、杜季だ。

「旦那様、いつお帰りに」

「今だ、それよりも、お前たちはここで何をしている」

威圧的な空気を持つ男だ。
脩のトラウマであるこの男を、近づけるわけにはいかない。

「バルコニーで寝ていらしたので、こちらに運んだのです」

「私は、何故一使用人がこの部屋に居座っているのか聞いたのだ」

普段は放置してるわりに独占欲の強い男だ、虫酸が走る。

「すいませんでした、すぐに出ます」

「なっ、政国!?」

何を考えているのか政国に引きずられ部屋から出るはめになった。
その間あの男は俺達のことをゴミを見る目で見ていた。
あんな目で見られたのは随分前以来だ。

「説明してもらおうか」

「今の私たちではあの男には勝てない」

「なに?」

「聞こえませんでした?今の私たちではあの男には勝てないと言ったんです」

「何故だ」

「あの男を殺して、はい終わりで済む話じゃないからですよ」

「......地位を手に入れろと?そうゆーことか?」

「ええ、ただの人殺しにあの子は拐えない」

「.........成るほどな、お前も付いてくるんだろう?」

「勿論、貴方だけに脩君は渡さない」

愛おしい脩。
お前は面倒くさいやつばかりに惚れられて、何て可哀想。
だけど、嗚呼。
俺の腕の中に居てくれ。
その為なら誰だって殺すから。
愛してるよ。
絶対あの男からお前を奪って見せる。
愛おしい脩。


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あきゅろす。
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