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人間嫌いとサイコパス
4
家に帰ると見慣れない靴があった。
僕はその靴の主がこの部屋にいると思うとなんだか怖かった。
この部屋にはこの一年間紅と僕以外誰も入った事が無い。
それが今破られた。
紅のテリトリーであるこの部屋に入れるという事は相手は少なからず紅の知り合いだ。
まさか殺人鬼仲間だろうか。
少なからず僕も人を殺しているが、さすがに殺人鬼というフレーズには警戒心くらい抱く。
そんなふうに、玄関でうだうだ考え事していたら、紅が玄関まで迎えに来た。
「おかえりーしゅー、すぐで迎えられなくてごめんね、この馬鹿が図々しくお茶なんか強請るから」
そういった紅の後ろから顔を出している男を見た。
きれいな金髪で、背中まであるその髪はひとまとめにしているこの男、いかにも優男といった風だ。
「ありゃりゃぁ?私もしかして警戒されちゃってます?」
「あたりまえだ、しゅーは聡明な良い子だからな」
「ふーむ」
「ひっ」
金髪の男は俺の手を握ると甲にキスをしてきた。
「政国ぃっ!!!」
「うおっ」
紅が珍しく怒鳴ると、政国と呼ばれた男はのけぞった。
よく見ると、紅がナイフを投げたようだった。
しかも本気で。
それを交わしたという事は、この男はやはり只者ではない。
「あのー、」
「どうしたんですか?脩君」
「話しかけないでくれないかなぁ、しゅーが穢れる」
「貴方はいったい・・・」
「私?私は・・・紅、本当のこと言って大丈夫かい?」
「・・・・ああ」
二人は顔を見合わせて、こっちを向いた。
「私は簡単に言えば屠殺屋と掃除屋を混ぜ合わせたような事をやっています」
「・・・・???」
「あはは、紅が大事に育てている箱入りのお姫様にこんなこといいたくないなぁ」
「政国」
「ふふふ、私は紅の仕事仲間ですよ」
やっぱり。
只者じゃない。
思わずにらんだら目の前のこの男は不適に笑った。
「かわいいね、思ってたよりずっと・・・」
政国さんがまた何かしそうな動きをしたけど、今度は何もしてこなかった。
首筋に紅がナイフを当ててるからだと思うけど。
「しゅー、手を洗ったらリビングにおいで、お菓子食べよう」
「うんっ」
僕は急いで手を洗ってリビングに向かった。
すでにソコには二人が席についていた。
ど付き合ったりしているけど、このふたりはなんやかんや仲が良いんだなって思った。
ちょっとだけもやもやした。
でも、政国さんは紅に負けず劣らずスキンシップが激しいだけで別に悪い人じゃないことは分かった。
お菓子を一緒に食べる頃にはもう警戒心はなくなっていた。
紅意外とまともに話したのが初めてだったけど僕はちょっとうれしかった。
そして、その日を境に、政国さんはよくうちに来るようになった。






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