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人間嫌いとサイコパス
3
今日は約束の日。
遊佐とデートだ。
紅は朝からそわそわして、なぜか政国さんと一緒にいた。
そんな二人にあいさつをして僕は家を出た。

約束の場所につくと、遊佐はすでに来ていた。
まだ待ち合わせ30分前なのに。

「お、おまたせ」
「ううん、全然待ってないよ」

さわやかに笑う。
うう、遊佐はいつにもましてカッコよく、周りの目線が痛い。

「さ、行こう」
「う、うん」

手を差し出されたので反射的に握ると、遊佐は嬉しそうに笑い歩き出した。
僕もうれしくなって自然と笑みがこぼれた。

遊佐が立ち止まったのはそれからすぐのことだった。
そこにはおしゃれなカフェがあってお客さんがあふれていた。

「ここね、最近できたんだって、スイーツがおいしいらしいよ?脩君甘いもの好きでしょ?」
「・・・なんで知ってんの」
「まだ知り合う前にね、女の子からのプレゼントお菓子ならもらってくれるって女の子たちが言っててさ、好きなのかなぁ?と、思ってね」
「・・・好き」
「それはよかった、さ、中にはいろ」
「え、順番待ち・・・」
「大丈夫、君と俺なら」
「え?」

遊佐は迷わず行列をかき分け先へ進む。
ほとんどが女性で、みんな遊佐に見惚れていた。
先頭の女の子たちの元まで行くと遊佐は素敵スマイルでいった。

「かわいいお嬢さん、すいませんが場所を譲っていただけないでしょうか」

ふつう渋るだろうに、二つ返事でOKされている。
イケメンおそるべし。
そんなかんな、並ばずして店内に入った僕たちは、注文を終え一息ついた。

「あーゆうのよくするの?」
「ん?まぁね、俺、愛されてるから」
「・・・・知ってる」

そう、知っている。
その瞳の穢れの無さは愛されている何よりの証拠だ。
うらやましい、と同時に妬ましい。
世界は不平等だ。
望むものを手に入れられる人間もいれば、到底無理な人間だってざらにいる。
僕は彼の傍に居たいと思う理由、愛。
愛がなければ僕は彼を嫌いなまま紅にでも殺してもらっていただろう。
つまり、彼が僕を愛する限り、僕にとって彼は意味のある男になる。
ああ、でも。

「でも愛してるのは脩君だけだよ」
「ふふ、知ってる」

そしてそれが永遠でないことも知っている。
だから、その時が来たら。
紅ではなく、僕が殺してあげなきゃ。
愛してくれた君に、誠意を込めて。
そうして僕が食べてあげる。
紅にはあげない。
僕が一人で食べる。

君は母親だったあれとは違い、愛してくれた。
だから。
僕が食べるんだ。



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