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人間嫌いとサイコパス
2
さて、遊佐に迫られるようになってから、紅の機嫌があまりよくない。
学校の送り迎えをする紅には、すでに遊佐との関係性がばれている。
紅曰く、殺すほどではないがうざい存在らしい。
いや、本当は今すぐにでも殺したいんだろう、でも僕がくぎを刺したから、そう言ったんだと思う。
何となく、以前紅が殺した女生徒と違って遊佐は殺してほしくないと思った。
はじめて、他人の命に関心を持てたんだ。
僕も紅も、生い立ちがまともじゃないせいで価値観が常人とはずれているらしい。
人は殺し、食べ、無償の愛なんて存在しないことを知る。
そんな人間を、遊佐はどう思うだろう。
きっと、憎悪の念を抱き、罵倒し、拒絶するだろう。
それだけは、嫌だ。
他の誰に拒絶されても、紅と遊佐だけは拒絶されたくない。
だって二人は、僕を愛してくれる数少ない人たちだから。
いつしかそう思うようになった。
紅も何となく感ずいているのだろう、だから彼を殺さないでいてくれているのだ。

「ねぇ、君さぁ、しゅーのこと好きなんでしょー?」
「ええ、すきです、愛してます」
「ふーん、泣かしたりなんかしたら、殺すからね」

帰り道、無理やりついてきた遊佐に紅が言った。
遊佐は驚いた顔一つせず、泣かせませんよ、といった。
紅は顔を歪めて珍しく舌打ちした。
僕の前では基本温厚な紅にしては大変珍しい。

「脩君、今度の日曜、よかったら遊びに行かない?」
「え、」
「デートしようよ」
「べ、紅・・・いってもいい?」

紅の顔色を窺うと紅は微笑んで頷いてくれた。

「・・・っいける!行く!」
「本当?じゃあ、駅に集合ね、詳しくはラインするよ」
「ああ!わかった」

僕は顔が赤くなるのを感じながら紅と手をつないで家路についた。


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あきゅろす。
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