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人間嫌いとサイコパス
6
学校の帰り、いつもは何処にもよらずに帰るのだが、今日は少し寄り道する事にした。
もうすぐ母の日らしい。
だから、紅にいつもの感謝を伝えたいから、花とは云わないがお菓子でも送ろうとおもったのだ。
人がたくさんいるところに長居するのは好きじゃない。
コレも全部、紅のためだ。
そう言い聞かせて、マンションから近い雑貨屋に入った。
女子高生がたくさんいる。
女子というのは何故か集団を好み、また可愛いものを好む。
こうゆうお店は格好の的なのだろう。
何人かは同じ学校の制服を着ている。
パンツでも見せたいのかやたらと短いスカートをはいて、入り口にたむろしていた。
邪魔で仕方ない。
僕が見たい紅茶のコーナーが女子たちの向こう側にあるので、どうしても彼女たちに退いてもらう必要がある。
話しかけたくない。
しかし、せっかくココまで来たのに帰るのも忍びない。
僕は意を決して話しかけることにした。
「あの」
彼女たちは僕の呼びかけに顔を紅くして答えた。
何故顔を紅くするのか、風邪でも引いてるんじゃないかと思ったが、そんな事心配する義理もないのですぐに思考を切り替えた。
「は、はいっ!?」
「ちょっと、良いですか?」
「え?」
彼女たちはやはり顔が赤いまま僕の顔を見る。
不愉快で仕方がない。
だけど、それを顔に出してはいけない事を、僕は学校で学んだ。
だから勤めて女好きするような笑みで対応する。
「紅茶を、見たいんです」
「あ、ごめんなさいっ」
「きゃー、すいません」
「すぐどきますぅ」
やっと目障りなものが視界から消えて、僕は安心した。
これでやっと紅へのプレゼントを選ぶことが出来ると、おもっていたのだが。
「あ、あのー、渡嘉敷君だよね?あたし、同じクラスの美鈴なんだけどぉ」
話しかけられてそれど頃ではなくなった。
「えー、やだ、このイケメン、美鈴の知り合い!?ヤバ」
「え〜うらやま〜」
勝手に盛り上がる女子たちに僕は眉間に皺がよるのを感じた。
「どうしたの、美鈴さん」
「え、覚えていてくれたの?うれしいっ」
「クラスメイトだからね」
本当は同じ学年ってことすら気がつかなかったけど、それは云わない方が良い気がした。
「渡嘉敷君は、何を買いにきたの?」
何故それをお前に云わなければならないのか。
「紅茶だよ」
「え、おしゃれ〜、誰かへの贈り物とか?」
「うん」
「え!?彼女?」
「ううん、でも、とても大事な人」
紅のことを考えたら、目の前の女の不愉快さも気にならなくなった。
自然と笑みが浮かぶ。
それを見られて、女子たちがかっこいいだのと言っているけど、おそらく気のせいだろう。
「そっかぁ、ねぇ?彼女いないならぁ、あたしと・・・」

「みーつけたぁ」

女の台詞をさえぎるように、いきなり僕の視界がふさがれた。
「べ、紅!?」
「えぇ?何でわかったのぉ?しゅーはエスパーだねぇ」
「声で分かるし」
振り返ると紅の顔が予想以上に近くて顔が赤くなるのを感じる。
「あー、しゅーったら顔が赤いよ?風邪かもしんないから早くかえろぉ?」
「う、うん、でも買いたいものあるから、紅はちょっと入り口で待ってて」
「えー?そんなの俺が買ってあげるよぉ」
「駄目っ僕が買わなきゃ駄目なのっとゆーか、紅は何買うか見ちゃ駄目!」
「えぇ〜あ、ちょっとぉ〜」
僕は紅を無理やり追い出すと、ため息をついた。
紅はあの見た目だからすぐに人目を引く。
僕はそのたびにはらはらするのだ。
紅が、知らない誰かに、連れて行かれそうな気がして。
「と、渡嘉敷君?」
「え?」
「さっきのかっこいい人は?」
「ああ、彼は・・・」
そこで僕は困った。
紅と僕の関係は、いったいなんだろう。
家族ではないし、友達でもない。
仲間、とも違う。
「あげないよ」
「え?」
気がつくとそんな事を口走っていた。
紅の事を卑しい目で見ているこの女が、なぜか気に入らなかった。
「彼は、僕のものだから」
何でも持っている君にはあげない。
そういって、紅茶を買うことを諦めて店を後にした。
後ろから、『なになに、美鈴、あんなイケメンたちと知り合いなの?』『しょうかいしてよぉ』とか聴こえたけど、紅は僕のだから絶対お前たちにはあげないと内心舌を出した。


「あれぇ?なにかは買わなくて良いの?」
「いい、もう・・・また今度にする」
「そう?」
「そんなことより、何で紅がこんなとこに?」
「しゅーの帰りがいつもより遅かったから、探したよぉ」
「あ、ごめん」
「へへ、気にしなぁい♪」

紅はそういうと僕の手を握った。
恥ずかしかったけど、僕もうれしいから、その手を力強く握り返した。










「あの女、邪魔だな」
「ん?誰です?」
「名前なんか知るかよ、俺の脩に近づいた雌豚さ」
「あらら、脩君に・・・私も気に入りませんね、手伝いますよ」
「・・・肉は喰うから骨の処理を頼む」
「任せてください」
暗い路地で、話し合う男の影が二つ。
人は彼らをこういう。

殺人鬼、と。




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