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蛇に睨まれたカエル3
次の日、いつもの時間より早くに出勤した。私が担当する階と同僚が担当する階を交換してもらうためだ。我ながらナイスな考えだ。私の担当は50階から100階クラスだから、1階から50階クラスの担当と変わってもらえばあのピエロ男とは会うことはない。昨日あいつは50階クラスになったばかりなんだろう。見たことなかったし。だからもう下の階に用はないはずだ。よし、と1人意気込みながら出勤した。




職場について、昨日のうちにメールしておいた同僚に挨拶をして、階を変わってもらい、いつものように笑顔でお客様に対応する。午前中は何事もなく過ぎていき、お昼になりいつも一緒に食べる同僚と今日階を変わってもらった同僚の3人でご飯を食べていたら、少し離れた席で食べている人達が今すごく注目されている選手の話をしていた。
やっぱりこんなところで働いているのだから強い人には少なからず興味があるので心の中でへぇ〜 ふぅ〜ん、と聞いていたのだが、

「顔も中々かっこいいのよ〜!ピエロみたいな化粧してるけど、落とせばかなりのイケメンと思うわ」

ごふっ思わずコーンスープが気管に入り噎せてしまった。隣で大丈夫?と背を擦って水を渡してくれた同僚に笑って返しつつ、水を飲みながら向こうの人達の話に耳を傾けた。


なんでも、100階クラスまで最短記録で上ったらしく、今上はその人の話で盛り上がっているそうだ。そんな人物に蹴りを入れたという現実に目を背けていると、隣の同僚から顔青いけどとまたもや心配されてしまった。




休憩も終わり午後の仕事が始まった。気持ちを切り替えよう、ヤツは100階にいるんだから会うことはまずないだろうと自分に言い聞かせた。またもや笑顔で対応してあとちょっとで終わる!とテンションが上がったところでヤツはあらわれた。


「やあ、昨日はどうも」

「……」

笑顔で声をかけてきたピエロ男に言葉を失う私。

「な…何かご用でしょうか…」

やっとのこと絞り出した声は掠れていて、聞き取れたかもわからない。するとヤツはさっとエレベーターに足を踏み入れてきた。閉じるのボタンを押せずに固まっていると後ろから手が伸びてきて男の指がボタンを押した。


「きみ、名前は…?」

昨日のことで怒られると思っていた私は意外な質問にびっくりし、振り返って目を見開いた。私と目が合いピエロ男は笑いながらもう一度聞いてきたのでおもわず名乗ってしまった。その笑顔が昨日のものとは違いなんだか安心するような笑顔で、そう思った自分にびっくりして固まっているとピエロ男はそう、というと後ろから両肩をもち顔を耳に近づけてきて、吐息混じりにささやいた




「僕はヒソカ…覚えておいてね…」




するとエレベーターが音を鳴らして止まり扉が開いた。ヒソカは残念とまた耳元で喋ると
最後に肩から手を外し、エレベーターの外へ出た。そして昨日の私がやったように閉じるのボタンを押した。扉が閉まる瞬間、またねと笑いながら手を振った。扉が閉まってエレベーターが下に着いて扉が開くまでの間私は一歩も動けずにいた。


「くそう…」

きっと真っ赤になっているであろう頬っぺたを隠しながら昨日とは裏腹にゆっくりと更衣室に足を運んだ。







(あれ、今度は顔あかいけど…?)(だだだだ大丈夫!)



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あきゅろす。
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