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急がば回れ4




――9:30





その子の名前と特徴を聞いた私は、とりあえず更衣室に行こうとエレベーターまで走った

その途中、またヒソカと出会ったので


「ヒソカっ」

「ああ…まだ急いでるのかい?」

「うんっていうかアンタここで何してるのよっ?」


今度はその場所に座りこんでいる奴に、こんな所で何をしているのか聞いてみた、ら




「何って……君に会いたくて」

「あーはいはい、じゃあ目的は果たしたわね」


またふざけた事を言っているヒソカを適当にあしらいながら、バイバイと手を振ってエレベーターに向かう




「と…僕にお気に入りに会いにね…」

「えっ?何ーっ?」


何か聞こえたような気がして振り返れば、笑って手を振るヒソカの姿

それは、バイバイの意味なのか、なんでもないの意味なのか
あの顔は聞いてもどうせ答えないだろうから、もう一度聞くことはしないでおこう


その代わり


「あっ!壁にこれ以上トランプ刺すのやめなさいよね!わかったー!?」

「……」












「失礼!!」

「きゃっ…てアンタか、あれ?今日休みじゃなかったっけ?」

「野暮用!!」


なんてやり取りを、休憩室、医療室、はたまた移動中のエレベーターの中で何回か行いながら闘技場内を駆け抜けたのだけど




「さっきタクシーで帰った、の…?」

「え?うん、5分前くらいだったかな?顔色は悪いし、まあそれはいつもなんだけど…フラフラしてたからタクシー呼んで見送ったけど?それにしても、アンタひどい頭ね…」


闘技場1階のエレベーター近く、もう夜も遅いからか人が居なくて暇そうにしている受付嬢に聞けば、返ってきたのは悲しい現実だった


前髪完全に上がってるわよ?と笑われたのだけど、それを直す元気はない


「何か用だったの?」

「うん、ちょっと…」

「あんたら知り合いだったっけ?」

「いや、見たことはない…」

「何それ、んーと…はい」

「…何これ、ゴミはゴミ箱に捨てなさいよ」

「違うわよっ電話番号!」


さらりと渡された紙を見れば、数字の羅列が

もう駄目だと思っていた私からしてみれば、まさに天の助けだった


早速電話してみようと携帯を取り出したのだけど、いくら同じ会社の人間でも、知らない奴からだと話しにくいだろう思ったので


「もしもし大丈夫?今話せる?」


掛けてもらうことにした


「何か聞きたいことがあるって…うんうん、今日200階まで来た選手にえーと?」

「ゴンとキルア!」

「ゴンとキルアって名前の…あ、来た?」


やっぱりあの2人、登録しようと200階に行ったらしい

でも、名前がなかったということは、あの3人組に何かされたのだろうか


「200階まで来たけど、登録する前に帰ったと…ん?途中できた他の選手と何か話していたみたい?ああ、ボーっとしてて覚えてないのね」

「!他の選手って誰!?」

「ちょっとうるさい…ああごめん、横の奴に言ったから…その選手誰か、わかんないか…」


最初はあの3人組だと思ったけれど、話を聞いているとどうやら1人みたいだ
きっとその選手が2人に何か言ったに違いない

一体誰だ、200階クラスにいる選手なんてたくさんいるし、ましてや名前がわからないんじゃ特定するのは難しいだろう
何か特徴でもあればそこから割りだしていけるのだけど





「うんうん、背が高くて」


(背が高い選手…)


「髪の毛が立ってて?」


(髪の毛が立ってて…)


「色は、覚えてない…でも派手だったと、顔は覚えてないの?」


(派手な髪色……?んん?)



「変なマーク?顔に?」



(…………)



「トランプ持ってたの?それって――」

「うん、もうわかったからいいよ?ありがとうって伝えといて?」

「…あ、うんわかった…?」



みなまで言うなと電話をしている彼女の肩に手を置く
振り返った彼女は私の顔を見て、何も聞かずに了承してくれた






あのくそピエロおぼえてろ








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あきゅろす。
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