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お互いの恋愛事情【連載中】
腕の中


あたしは目の前に差し出されたメガネをサッと受け取り、早口でお礼を言うと、
『森川マサト』と関わりたくない一心で、目線も合わせないまま急いでベッドを降りた。





『不良』はこわい。
『不良』は嫌い。
『不良』には関わりたくない。


呪文のように心の中で繰り返してきた言葉。







ベッドから降りたあたしの足が冷たい床に着いた。

その瞬間。





「…おい!?」

体調が万全ではない上、寝起きなあたしは見事にバランスを崩し、




「……っ…!!」

思いっきり倒れこんだその先は。






「あっぶね!」


森川マサトの腕の中だった。






…最悪…!
こんなときにフラつくなんて…!






森川マサトはケンカ慣れしているせいか、細身な見た目よりもがっしりしているらしい。

よろけることもなくしっかりあたしをキャッチし、ヒョイっとあたしの顔を覗き込んで、



一瞬。
ふわっと優しく微笑んだように見えた。







あたしの心臓が、大きく鼓動する。







…違う。
きっと、気のせいだ。

森川マサトがあんなに優しく笑うわけない。



関わっちゃダメ。

離れなきゃ。
森川マサトから早く離れなきゃ…!






…とは思っているのに、体勢を崩した状態ではそれすらもままならず、





「…きゃぁああっ…!!!!?」

「どこいこうとしてんだよ。病人はおとなしく寝とけ。」


あたしはそのまま、森川マサトに抱きかかえられてベッドの上に放り投げられ、

そして。







「…何してるの…?」

「見りゃわかんだろ?」

「わかんないから聞いてるんですけど。」

「わかんねぇの?」

「…わからない。」

「添い寝。」

「は?」

「添い寝だってば。」

「添い寝って何!?」

「一緒に寝ること。」

「意味はわかってるわよ!」

「何って聞いたじゃねぇかよ。」

「何で添い寝しようとしてんのか聞きたいの!」

「シーツ冷たいから。」

「だから何?!」

「だーかーらー。」

「だから!?」

「あー…もういい。黙って寝ろよ、病人。」

「なんであたしがあんたと…むぐっ!?」






―…気がついたときには、
また、森川マサトの腕の中にいた。





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