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お互いの恋愛事情【連載中】
自分の部屋

学校を飛び出し、電車に乗り、駅からまた走り。
家族に「ただいま」も言わないまま階段を駆け上がって、自分の部屋に飛び込んだ。



自分の荒い呼吸音が響く見慣れた部屋。

机があって。
本棚があって。
クローゼットがあって。
ベッドがある。


あたしが一番落ち着く自分の場所。





バタンとドアの閉まる音を耳にしたと同時に緊張の糸が切れたのか、大きなため息が出た。





なんだか、今日はすごく疲れた…。





鼓動が速くて息苦しいけど、もう少しだけがんばってヨロヨロとベッドに倒れこんだ。



薬のにおいのする保健室の無機質な感じのベッドとは違う、自分のベッド。
ホッとしてベッドと同化しそうなくらい身体の力が抜けていく。






走ったせいか。
熱のせいか。

誰もいなかったこの部屋の布団はヒンヤリしていて、押し付けた顔がすごく熱く感じる。




…あぁ。
そういえば、今日は体調が悪くて保健室にいったんだっけ。

そんなことすっかり忘れてた…。




しかも、よくよく考えてみると、
まだ他の生徒達は授業中なはずなのに、保健室に行ったっきり先生やアサミに一言も言うことなく家まで帰って来てしまってる。


みんなからしっかりしてると言われ、クラスの委員長としてしっかりがんばってきたつもりの自分の今日の行動。

体調が悪かったとは言え、あまりのマヌケっぷりにおかしくなって思わずフッと笑ってしまったあたしは、
ふと自分の手に布が握り締められていたことに気がついた。



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