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お互いの恋愛事情【連載中】
男物の制服
朝起きてリビングにいくと両親そろって朝ごはんの真っ最中だった。



いつもと違って顔も洗わず寝ぼけ眼にボサボサの髪でリビングにきたあたしを見て、

「おはよう。昨日、学校から『帰ってきてますか』って電話がかかってきてたわよ。」

とママは明らかに笑いをこらえている様子だったけど、こっちは笑い事ではない。



昨日は現実逃避して寝てしまったおかげで身体こそ元気になったものの、所詮は現実逃避。
現実には何の解決にもなってない。
目が覚めれば問題は山積みのままで、解決しなきゃらならないことがいくつもある。



実際問題、あたしは昨日嘔吐物と熱や全力疾走でかいた汗もそのままでお風呂にも入っていなくて、お世辞にもいいニオイとは言えないし。
学校の先生やアサミには事情を説明しなきゃいけないし。
悩みの種の森川マサトの制服にはまだベッタリとあたしの嘔吐物がこびりついてい―…、






「あ。あんたが寝ながら握りしめてた服、あまりにも臭うから洗っておいてあげたわよ。」


―…なくて、ママがキレイに洗ってくれてあるらしい。






「で、もう一日休む?学校行く?」


洗濯してアイロンまでかけてくれた男物の制服を手渡しながら、ママが聞く。




そんなの考えるまでもない。

病み上がりで。
お風呂にも入ってなくて。
人に向かって嘔吐したあげく、人の制服奪って裸で帰らせたかもしれなくて。
先生に一言も言わずに勝手に家まで帰ってきてて。
人生でこんなに恥ずかしいことはなかったくらい恥ずかしいことだらけで。
出来ることならほとぼりが冷めるまで引きこもっていたいくらいなのに。







「………シャワー浴びて学校行く。」

キレイになった森川マサトの制服を受け取りながらあたしが口にしたのは、そんな言葉だった。



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