お互いの恋愛事情【連載中】
誉めてんの
「……な…っ…!」
この男の言うことはいちいち予想外過ぎる。
確かにあたしは『処女』だから言ってることは間違ってないけど、
だからと言ってわざわざ律儀に「そうです」とは言いたくはないし、
こういう会話に慣れた人なら冗談っぽく笑ってごまかせるんだろうけど、
そんなことをサラッと言えるような感性をあたしが持ち合わせてるわけもない。
それに、大して話したこともないような相手にいきなりそんなこと言わないのが一般常識というものではないだろうか。
ってことは、つまり。
やっぱり、
そういうことなんだ。
そう。
森川マサトは、おもしろがってる。
あたしをバカにして楽しんでいる。
あたしが不良嫌いで男慣れしてないから。
あたしがそういう言葉や行動にアタフタするから。
だから、あたしが咄嗟に対応できないような言葉をわざわざ…、
「あ。バカにしてるわけじゃないから。」
…また、あたしの予想とは違う言葉が降って来る。
あたしに男心が理解出来ないからか、
森川マサトの思考回路が特殊なのか、
はたまた、あたしと森川マサトの性格が合わないからか。
森川マサトの言動、行動、すべてがあたしを困惑させる。
「バカにしてるんじゃなくて、誉めてんの。」
「………誉、め、て…?」
「そ。」
自分が何を言われているのか全く理解できず、森川マサトの言葉を声に出してみる。
と、
「小林さんってもっととっつきにくい性格かと思ってたけど、」
避けるヒマもなく、
「かわいいのな。」
森川マサトの大きな手があたしの頭をクシャっと撫でた。
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