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お互いの恋愛事情【連載中】
やっぱ処女でしょ

目を合わせることなんて出来なくて。
俯いて自分の大きな鼓動を抑えることに必死になっていると、ふいにツンと髪を引っ張られた。





「……!?」

驚いて反射的に振り返る。







「あ。悪ぃ。」


視線を動かしたその先では、




「髪についてるから。」


森川マサトがあたしの毛先を摘みあげていて。





「来いよ。洗ってやる。」


そう言ってさっさとベッドを下りるから、毛先を摘まれたままのあたしも、引っ張られるままにベッドを下りて保健室の手洗い場まで移動するしかなかった。






でも。
あたしの髪よりも…。







あたしの視線の先には、あたしの髪よりもっともっと嘔吐物にまみれた森川マサトの胸元。
ホントに申し訳ないくらい、嘔吐物が制服にベッタリとついている。

朝食を食べられなかったことが唯一の救いかもしれない。




…どうしよう。
今更、謝るのもおかしい気がするけど、
これだけ汚しておいて謝らないのはさすがに良心が痛む。

ここはやっぱり一言…。





「……。」


謝る機会を窺いながらじっと森川マサトの胸元を見つめていると、
あたしの髪を摘んだまま蛇口を捻ろうとしていた森川マサトがあたしの視線に気付いたのか「ん?」と、こっちを振り返った。





「あの…、えっと……胸…。」

要点を得ないあたしの言葉に森川マサトは一瞬キョトンとして、





「あぁ、オレもか。」

あたしの視線を辿った後、納得したように軽く頷いたかと思うと、




「…!!!!」

制服のワイシャツをあたしの目の前で一気に脱いだ。



あまりに突然の出来事に、あたしは目をそらすことも忘れて上半身裸の森川マサトを見つめるだけ。

ただただ、筋肉質な森川マサトの上半身に視線が釘付けになり、
放心状態の数秒間を経てやっと状況を頭で理解したあたしの顔は、自分でもわかるくらいあっという間に真っ赤になっていく。




そして、
そんなあたしの様子を見て森川マサトは、








「小林さん、やっぱ処女でしょ。」


と、口角を上げて笑った。





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