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お互いの恋愛事情【連載中】
第一声

数秒の沈黙の後、



「あ〜…派手にやってくれて。」


頭の上から降ってきた森川マサトの第一声に、あたしの身体が、ビクッと震える。






悪いのは、あたし。
誰がどう見たって、悪いのは嘔吐物をぶちまけた、あたし。

そんなこと、わかってる。



どんなに怒られようと、今やらなきゃいけないことは、まず謝ること。
どんなにののしられようと、許してもらえなかろうと、謝らなきゃいけないってことはわかってる。


わかってるのに…、

あたしの身体は凍りついたように全く動かない。





怒鳴られる。
バカにされる。
言いふらされる。


この先、自分がどういう目に合うのかが容易に想像出来てしまって、
そのことばかりが頭の中をグルグル駆け巡る。





なんであたしが?
なんで学校で?
なんで森川マサトに?
なんで?
なんで?
なんで?




考えれば考えるほど、
悔しくて。
恥ずかしくて。
情けなくて。

こらえてもこらえても、こらえきれなくて。






「………ッ…。」


ついに流れ出てきそうになった涙に、ギュッと目を閉じた瞬間。








「ん?まだ吐きそ?」

一定リズムの優しい動きを背中に感じた。





「だから寝てろっつったろ?」

驚いてバッと顔をあげると、目の前には森川マサトの顔があって。



あの森川マサトが。
あの『不良』の森川マサトが、






嘔吐物なんて全く気にする様子もなく、あたしの顔を覗き込んで微笑んでいた。




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