あたし限定ホストクラブ3
9
中に入ると、想像していた『執事喫茶』とはだいぶ違っていた。
テーブルとかイスとかなくて。
もっとゴチャゴチャしていて。
お客さんとかもいなくて。
なんていうか…そう。
『執事喫茶』というよりは『裏方』って感じの…、
「アカリ。」
「ミチル…。」
名前を呼ばれ、顔を向けた先には大好きなスグル。
…と、ナガレくんがいた。
2人とも燕尾服に、白い手袋。
スグルが何を着ても似合うのは言わずもがな。
ナガレくんはトレードマークの前髪はゴムで結っていなくて、銀色が目のあたりでサラリと揺れていていつもとイメージが違う。
「悪い、池本。ありがとう。」
「いやいや。ってか、待合の女の子らで気付いた子がいるかもだけどな。」
池本と呼ばれたさっきの執事さんは、「んじゃ、オレは仕事もどるわ。」と再び部屋を出て行った。
何があったのかはよくわからない。
今わかっていることは、どうやらここはやはり『執事喫茶』ではなく『執事喫茶の裏方』のようだということと。
あたしとミチルは、
やっぱりここに来ちゃいけなかったんだってこと…。
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