あたし限定ホストクラブ3
10
『スグルに迷惑かけた。』
あたしの頭にまず過ぎったのはそれだった。
「……ごめんなさい…。」
あたしはシュンと下を向いてスグルに謝る。
誘われてないのに来ちゃってごめんなさい。
勝手に来ちゃってごめんなさい。
スグルに迷惑かけちゃってごめんなさい。
まわりの人にも迷惑かけちゃってごめんなさい。
一瞬でいろんな『ごめんなさい』が浮かぶ。
あたしはただスグルの高校生活が見たかっただけなのに…。
結局理由なんて全くわからない。
わかったことは、ただ一つ。
あたしはここに来ちゃいけなかったんだってことだけ。
あたしがここに来たことは、スグルにとってマイナスでしかない。
スグルが誘わなかったのは言い忘れなんかじゃなくて、意図的にあたしを文化祭には呼ばなかったんだってこと。
理由は何?
執事姿を見られたくなかったから?
ううん。そんなんじゃないと思う。
じゃあなんで?
指輪を外してるのはなんで?
いつも肌身離さずつけてくれてた指輪は、学校では外してるの?
校内にカノジョがいるから?
それが理由?
サヤカは、スグルのカノジョが校内にいることを知っていたの?
だからサヤカは、スグルはあたしを文化祭に誘わないと思っていたの?
もしかして、サヤカがスグルのカノジョ?
自分がスグルのカノジョになったから、以前ほどあたしに敵意がないの?
あたしとスグルを文化祭で会わせて、それで…、
あたしの想像は膨らんでいく。
もう止まらない。
暴走しはじめたら止まらない。
…それは、ミチルも同じようで。
ミチルもあたしと同じように、目を赤くして堪えていた。
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