保健室のシズマ先生【7ページ完結】
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「またサボりにきたのか、お前は。」
「先生。『お前』じゃなくて『ユウ』って呼んでみて?」
「…アホか。」
あたしの必死のアピールは今日もいつも通り、先生に一蹴されて失敗に終わる。
「日数ヤバいっつったろ?授業出ろ。」
「え〜。」
「え〜、じゃねぇよ。」
先生にとって、あたしはただの生徒。
先生から見たらあたしは子供かもしれない。
だけど。
「わかった!」
「なにが?」
「授業に出る。」
「ほぅ。」
「そのかわり。」
「そのかわり?」
「1つだけあたしの言うこと聞いて?」
「……オレが?」
「そう。」
「…お前の?」
「うん。」
「……。」
「いいでしょ?」
「……。」
「1つだけ!」
「…わかった。聞いてやるから言ってみろ。」
「え?ホントに?!何でもいいのっ?」
「常識の範囲内でならな。」
あたしは先生のことが好き。
だから。
「んとね、」
「あんぱん屋のデニッシュあんぱんか?いちご堂のアイスクレープか?」
「…なんで食べ物ばっかり…?」
「お前の食い意地が張ってるから。」
「ひどーい!」
「じゃあなんだよ。」
「えーっと…えっと…あのね…。」
「早く言えよ。」
「キ…、」
「キ?」
「…キ…、」
「キ?」
―…『キスして?』
ホントはそう言いたかったんだけど。
「キ……リマンジャロ…!」
「お前、コーヒー飲めたっけ?」
「う…?キリマンジャロってコーヒー…?」
「……アホか。」
今日はこれでガマンしてあげる。
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