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あたし限定ホストクラブ2【120ページ完結】
合流

スグルとの電話がつながり、場所を伝えたあたしは、缶コーヒーを手に持ってしゃがみ込んだまま、スグルを待った。




さっきの男の人は、ホントになんだったんだろう。
あたしと話がしたいと言い、缶コーヒーをくれて、ホントに話だけしていなくなったあの人。

…なぜかあたしの名前を知っていた、あの人。




男らしい整った顔立ち。
艶のある甘い声。

顔も声も、全然違うのに、スグルとどこか似ている。
何もかもが全然違うのに、なぜかスグルを思わせる。


どこが似てる…?
何が―…、









「アカリっ…!」


考え込んでいたあたしの耳に、聞き慣れた声が飛びこんできて、

「…スグル!」


顔を上げて声がした方にスグルの姿を確認すると、あたしの頬が勝手に緩む。





黒いコートに、栗色の髪のスグルは、あたしの前まで駆け寄ると、はぁーっと白い息を吐いてあたしの前にしゃがみ込んだ。

急いできてくれたらしく、白い息を苦しそうに短い間隔で何度も吐いていて、


「…よかった。電話繋がらなかったらどうしようかと思った…。」

あたしを見つめてそう呟くと、ちょっと困ったような笑顔を見せた。




その笑顔に、あたしの胸は例の如くキュンとする。

離れていた時間はそんなに永くなかったけど、あたしが、スグルを恋しく想うには十分な時間で。



「…ごめんね…。あたしが勝手に動いたから…。」

あたしがそう言うと、スグルは、フッと微笑み、


「すげぇ焦った。」

温かい手で、あたしの頬を包むようになでるから。



あたしの心臓はまたドキドキし始めて。

なんかもう、願い事なんか意味ないんじゃないかってくらい、あたしばっかりドキドキさせられた。


やっぱり、スグルがそばにいてくれると、ドキドキしてばっかりなのに安心する。





「帰る?」

スグルの言葉にあたしが頷くと、スグルは、頬を包んでいたあったかい手で、あたしの手をギュッと握り、


「今度は、はぐれないように。」

手の甲に軽くキスを落として、優しく笑った。








家に帰ると、リビングでテレビを見ていたママが、あたしとスグルに「おかえり。」って振り向いて。

あたしにチョイチョイっと手招きしてソファに寝転んだ自分のところまで来させると、


「たまには酒じゃないもんも飲まないとね。」

ってすっかり冷たくなった缶コーヒーをあたしの手から奪い取った。


「あ…、」


『見知らぬ男前にもらった缶コーヒーだし、あやしいから飲まない方がいいと思うよ…?』



って心の中で思ったけど、時はすでに遅し。

ママはあたしが声に出して言うより先に「ゴッ」って音と共に一気にコーヒーを飲み干していて、あたしはそんなママを呆然と見つめた。





まぁでも。
毒が入ってても、この人なら大丈夫なのかもしれない…。



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あきゅろす。
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