あたし限定ホストクラブ2【120ページ完結】
スグルの顔
「…え?」
突然の言葉に意味がわからないあたしは、聞き返し、
「それってどういう―…、」
言いかけた時、ふと、スグルの言葉が頭を過ぎった。
『アカリは、俺を見てくれる?』
…あれは、もしかして…、
自分が『見世物』って意味…?
待ち受け画面にされて、『外見』しか見てもらえなくて。
『元ホストの立花スグル』として、『見た目』しか見てもらえなくて。
だから、アカリ『は』、『俺』を見てくれって意味…?
あたしを見つめるスグルの表情は笑っているのにどこか辛そうで…。
スグルは、ずっとこうやって『見世物』扱いされてきたのかもしれないって感じた。
でも、あたしは―…、
「あたし、スグルの『顔』好きだよ。」
はっきりとスグルに言い切った。
あたしの言葉に、スグルの表情がちょっと強張ったように見えたけど、あたしは真っ直ぐにスグルを見つめて構わず続け、
「でも、あたしが好きなのは、『元ホストの立花スグル』じゃない。」
思い付く限りの言葉を並べて、
「あたしが待ち受け画面をスグルの写真にしたかったのは、『スグル』が好きだからで、『顔』が好きだからじゃないから!『顔』ももちろん好きだけど、あたしは『スグル全部』が好きなの。優しくていつもキスしてくれる、ちょっと照れ屋で甘えん坊の『スグル』が好きなの!!」
あたしは『スグル』が好きなんだと訴えた。
息が切れるほど力説したあたしを、スグルはしばらく呆然と見つめていて…、
「あたしは、『スグル』が好きって…伝わった?」
あたしが遠慮がちに聞いてみると、
スグルは、表情を隠すようにあたしをギュッと抱き寄せ、
「うん…。こんな熱烈な告白、初めてされた。」
うれしそうに笑った。
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