あたし限定ホストクラブ2【120ページ完結】
別れたくない
「アカリ、」
「メイちゃん、かわいいよね。」
涙目のあたしは、スグルに顔を見られたくなくて後ろを向いたまま、
はっきりした別れ話をスグルの口から聞きたくなくて、スグルの言葉より先に口を開く。
「あの、」
「あたしみたいなバカじゃないし。」
「アカリ、」
「あたしみたいにワガママじゃないし。」
「アカ、」
「あたしみたいに不細工じゃな…、」
突然、フワッとスグルのいいにおいに包まれ、
「…俺の話聞いて?」
スグルの柔らかい声が聞こえたと同時に背後からスグルにギュッと抱きしめられて、ビックリしたあたしは、言葉を途中で飲み込んだ。
あたしの心臓がキュンってなる。
あたしはやっぱり、スグルが好き…。
すごく好き…。
こんなに好きなのに。
…別れたくないよぉ…。
スグルに抱きしめられて、泣きそうになったあたしは、思わず。
「…あたしじゃダメなの?」
言ってしまった。
なんでメイちゃんと付き合うの?
メイちゃん小学生だよ?
あたしがゲームで負けたから?
もうあたしの彼氏でいてくれないの?
あたしは、スグルが好き。
こんなに好きなのに…。
「…スグルと別れるの、ヤだ…。」
悔しくて、悲しくて…。
胸がギュッと痛くなる。
「……アカリ…?」
あたしの名前を呼んだスグルの声は困惑してるから、
またあたしは、ワガママ言ってスグルを困らせてるんだってわかる。
でも、あたしを抱きしめてるスグルは、あたたかくて。
優しくて。
「……あたし、ワガママだけど、バカだけど、スグルのこと、好きなの…。」
スグルが好きだって気持ちを止められないあたしの目からはポロポロと涙がこぼれて、スグルの服を濡らした。
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