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あたし限定ホストクラブ2【120ページ完結】
バレンタイン大作戦



2月に入り、まわりがなんだかソワソワし始める頃、





「アカリ、バレンタインどうする?」


ミチルが目を輝かせてそんなことを聞いてきた。




いくら恋愛経験が少ないあたしでも、誰かにあげたことは一度もなくても、バレンタインくらいは知っている。

知ってるけど…、



「どうするって…スグルにあげるけど…?ミチルはナガレくんにあげるんでしょ?」

ミチルに言われた言葉の意味がわからず、あたしは疑問系で返すと。



「あのね、」

「うん?」


ミチルは少し恥ずかしそうにモジモジしながら、



「一緒に作らない?」

そう提案し、あたしの動きは、一瞬止まった。








「つ…、作る…!?」



作るってチョコを…?

何から?
チョコの原材料から?
カカオ?
それをどうやってチョコに…?!


バレンタインって、そんなに過酷なものなんだ…!?





市販のチョコを買ってスグルに渡す気まんまんだったあたしは、ものすごい衝撃を受けて。

目とか口とか全開で、ミチルを見つめていると、






「あの…、チョコは売ってるの使うからね…?」

「…え!?」



頭の中を覗いたのかと思うくらい的確なミチルのつっこみが入り、思わずビクッと身体を震わせた。




「チョコを溶かして、形作るの。」

「…!…、なるほど。」


「トリュフを作ってみようと思うんだけど…。」

「……キ…、キノコ…?」


「……。」

「……。」




あたしの中で、チョコレートなんてどんなものも『チョコレート』であって。
どんな形をしていても『チョコ』は『チョコ』。

おしゃれな呼び名なんて知らないし、
お菓子なんて作ったことのないあたしには、『トリュフ』なんてどんなものか想像もつかなくて。



「あの…、トリュフって何…?」



恥を偲んでオズオズと聞いてみたら、



「キノコのトリュフに似た、丸いチョコのことだよ。」

優しいミチルは、あたしを見捨てることなく、ニッコリ笑ってちゃんと教えてくれた。







…あたし、こんなんでホントにスグルにあげるチョコ作れるんだろうか…?






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あきゅろす。
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