あたし限定ホストクラブ2【120ページ完結】
ポーカーフェイス
「…自分にヤキモキ?」
急にキスされて、真っ赤になったあたしが、上目使いにスグルを見上げると、スグルは「そうかも。」って笑ってあたしを抱き寄せ、もう一度唇を重ねた。
スグルがヤキモチ妬いてくれるのってうれしい。
普段、あまり感情を表に出さないスグルだから、自分のことを話してくれるのがすごくうれしい。
抱きしめられたスグルの腕や、スグルの熱い舌を感じて、あたしの鼓動は速くなって。
「……んンッ……。」
どんどん深くなるキスに、あたしの口からは声が漏れ、静かなスグルの部屋に響いた。
いつもより深いキスをして、スグルは名残惜しそうにあたしから唇を離す。
スグルが少し寂しそうな表情であたしをじっと見つめるから、
あたしもじっとスグルを見つめ返してると、
「…アカリは、俺のこと見てくれる?」
スグルが切ない声で呟いた。
あたしは、意味がわからずキョトンとする。
アカリ『は』って…?
みんな、スグルを見てるのに。
スグルはどこに行っても、みんなに注目されてるのに。
…どういうこと?
考えても意味はわからず、あたしは目をぱちくりさせるだけ。
「…スグル…?」
あたしの声に、スグルはハッとしたように表情を変え、
「うん?」
何事もなかったかのように、いつもと同じ優しい声で返事をした。
さっきまでの『スグル』は、『ポーカーフェイスのユウ』で、完全に隠される…。
…こんなとき、あたしはちょっと寂しくなる。
スグルがポーカーフェイスで本心を隠すってことは、例え些細なことであっても、あたしには知られたくないことがあるってこと。
あたしは、スグルの内面も見せてほしい。
スグルが好きだから、スグルの弱いところも、全部見せてほしいのに…。
スグルは、距離を置いた付き合いを望んでるの…?
それが『立花スグル』なの…?
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