あたし限定ホストクラブ2【120ページ完結】
まつげパーマ完了
トモキくんは、いつもシズさんがまつげパーマをしくれる部屋にあたしを連れていき、いつもの椅子に座らせた。
「いつもやってるの?」
「うん?」
「まつげパーマとか…。」
「あー、」
あたしがトモキくんの腕を心配してると思ったらしいトモキくんは、小さく唸ると、
「まつげパーマはシズので何回も練習してるから大丈夫だよ。」
あたしの顔を覗き込んでニコッと笑った。
そういう意味で言ったわけでなかったんだけど、トモキくんの無邪気な笑顔になんだか安心する。
「シズさんの仕事いつも見てるの?」
「時々ね。合間に教えてもらったり。」
トモキくんは、シズさんほどのスピードはないものの、あたしと話しながらも手は常に動いていて、きっちりと仕事をこなしていく。
「将来は、シズさんみたいな美容師さん?」
「うん。4月から専門学校に入る予定。」
「トモキくんいくつ??」
「今、中3。」
「すごいなぁ〜!先のことしっかり考えてるんだね。」
あたしの1つ年下なのに、自分のやりたいことをしっかりと持っているトモキくんがすごく頼もしく見えて、うらやましい。
「ちっちゃいときからシズを見て育ったから、やりたいことがそれしか思い付かなかっただけだよ。」
言い方は冗談っぽいけど、トモキくんは心からこの仕事が好きで美容師になりたいんだ…。
まつげパーマ真っ最中のあたしからは、トモキくんの表情は見えなくても、すごく楽しそうに仕事をこなしていくのが声だけで十分わかる。
「トモキくんがお店持ったら、お祝いにでっかい花束贈るね!」
「いいね。楽しみにしてるっ。」
トモキくんの楽しそうな笑い方や話し方は、ホントにシズさんにそっくりで。
「お店の名前とか考えてる?」
「いや、全然。10年以上先だろうしね。」
「じゃあ『バー、トモキ』で!」
「それ…、飲み屋じゃ…。」
「ぇ…、美容院って『Bar』じゃなかった!?」
「『Barber』だよ!」
トモキくんが、可笑しそうに笑うから、あたしも一緒に笑って。
あたしは、トモキくんと初対面だってことなんかすっかり忘れて話し込んでしまい、
「はい、完成!」
まつげパーマはあっという間に出来上がった。
「上出来!?」
トモキくんが鏡を差し出してくれて、受け取った鏡を覗き込むと。
「わぁ…!」
キレイにカールしたまつげと、パーマの力でちょっと大きくなったあたしの目が映ってた。
「キレイに出来てるー!」
「よかったーっ。やり直しって言われたらどうしようかと思ってた。」
そう言って優しく笑う、鏡越しに見たトモキくんの顔は、やっぱりシズさんにそっくりだったけど、
「ありがとう、トモキくん。」
「どーいたしましてっ。」
よく見るとスグルにも似ている気がして、ちょっとドキッとしてしまった。
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