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あたホス番外編〜キョウヤ〜【13ページ完結】
マンションの一室


高級そうなマンションの一室。


コイツはこんなところに住んでいるのか…。





「落ち着けよ。」

なんだか落ち着かなくて、広い部屋の中をウロウロするあたしを、コイツは笑った。

あたしは、ちょっと赤くなって、その場に座り込む。




「ねぇ…。」

「ん?」


「本名…なんていうの?」


ソファに座ってくつろいでいたコイツは、あたしの言葉にちょっとだけ驚いた表情を見せると、


「……キョウヤ。」

小さく笑って、つぶやいた。





名前を知った。
『キョウヤ』。


うれしくなったあたしは、パッと顔を輝かせる。



「キョウヤ!あたし、ここに住んでいい?」

キョウヤは、ポケットからタバコを取り出し、一本を口にくわえると、目線だけチラッとあたしに向けた。


「親が心配するぞ。」

「……、しない。…あたしは出来の悪い娘だから…。」



あたしは、お姉ちゃんみたいになれない。
あたしは、出来が悪いから。
あたしなんて、いない方がいいに決まってる。
あたしのことなんて、誰も心配しない。





キョウヤは、くわえたタバコにライターで火をつけ、一息吸い込むと、ゆっくりと煙を吐き出す。


「明日、家に帰れ。」

「…!!……ヤだ。」



あたしはここにいたい。
家に帰りたくない。

あたしは、キョウヤのそばに―…、






「着替え取ってこい。親に、ここの連絡先だけは教えとけよ。」

「……、…あたし、いてもいいの…?」


あたしの言葉に、キョウヤは口の端をあげて優しく笑った。




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