あたホス番外編〜キョウヤ〜【13ページ完結】
出会い
「最近、ホストにハマっちゃってさぁ〜。」
教室で、化粧片手にルリが言った。
あたしの中でのホストクラブというのは、バカ高いイメージ。
「お金どうしてんの?」
あたしの疑問に、ルリはちょっと笑う。
「高いお酒飲まなきゃ大丈夫。行ってみる?」
ルリに誘われ、あたしは興味本意でルリについていった。
店内に入ると席に案内され、あたしとルリがソファのような椅子に座ると、すぐに、男が2人近付いてきた。
2人は軽く挨拶をして、それぞれ、あたしとルリの隣に座る。
あたしの隣に座ったのは、キレイな黒髪に、切れ長の真っ黒な瞳。
じっと見つめるあたしへの第一声は、
「こんなとこ来ちゃダメだろ。帰んな。」
低くて甘い声だった。
子供扱いされたのが悔しくて、
「客にそんなこと言っていいの?」
客という立場の上から目線で言ったあたしの言葉に。
「それとこれは話が別。」
フッと笑って見せる。
切れ長の目が少し細くなる、優しい笑顔。
悔しいことに、コイツのその顔、その声に、あたしの心臓が反応した。
…何なの、これ?
今までこんなこと一度もなかった。
初めてのことだった。
今まで、彼氏なんて何人もいたし、体の関係だってもちろんあった。
でも、こんなに心臓が騒がしいのは初めてだった。
会ってすぐ。
しかも2言しかしゃべってないコイツに。
どこの誰かもわからないコイツに。
あたしは、生まれて初めて恋をした。
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