サクヤとミズホ【38ページ完結】
本音
サクヤは一瞬、目を見開いてあたしを見つめたけど、すぐに眉間にシワを寄せ、
「なんだ、それ…。」
冷たい声で吐き捨てるようにあたしに言った。
サクヤはあたしの気持ちなんて、ホントは全然考えてくれてないのかもしれない。
あたしはサクヤにとって、ホントにただの『物』なのかもしれない。
あたしは次々とあふれ出てくる涙を止めることが出来ず、ただただ歪んだ視界でサクヤを見つめるだけ。
涙でぐちゃぐちゃになってるあたしを、サクヤはじっと見つめ返して。
「何が気にいらねぇんだよ…。」
眉間のシワをさらに深くして、小さなため息と共に呟いた。
何が気にいらない…?
サクヤは、あたしが今の状態に満足してると思ってるの?
好きな人に好きになってもらえないこの現状を?
好きな人に抱かれても、好きな人は自分以外の女も抱いてるこの現状を?
「ミズホ、何が気にいらねぇ。言え。」
…サクヤのその一言で、あたしの中の何かが音を立てて崩れた。
あたしの中に渦巻いていた感情が止められないまま、ダムが決壊したように一気に押し寄せてきて…。
「セフレは、もうイヤ!都合の、いい女は、イヤ!あたし、がどんなに、好きでも、どんなに、がんばっ、てもサクヤ、が他の女のとこ、いっちゃうの、がイヤ!!!」
あたしは、必死に隠してきた自分の気持ちを、泣きわめきながらサクヤにぶちまけていた。
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