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サクヤとミズホ【38ページ完結】
他の女と


『自分は物扱いされている』ということに胸の痛みを感じながら、涙で潤んでしまう瞳でぼーっとサクヤを見つめていると、



「そういう顔してるから襲われんだよ。」

少しばかり笑いを含んだサクヤの声が聞こえて、あたしは頭の中の暗い考えから引き戻される。




「………誰に。」

「オレに。」


口角を上げて妖艶に微笑むサクヤに、


いつものあたしならきっとドキドキしてしまって抵抗なんて出来なくなってたと思う。
きっと、サクヤにこのままベッドに押し倒されてたと思う。





だけど、今日のあたしは、
サクヤの唇があたしの唇に軽く触れた瞬間…。









胸がギュっと苦しくなって。







「…、ミズホ…。んで泣いてんだよ…。」


もうどうやっても隠しきれそうにない涙をボロボロ零しながら、




「したい、なら他の、女と、すればいい、じゃないっ!」


サクヤに向かってそう言い放っていた。




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