サクヤとミズホ【38ページ完結】
物
サクヤの言葉に、あたしは唖然とする。
『オレ以外に触らせんな』
どういうこと…?
いや、言葉の意味はわかる。
サクヤ以外に触らせるなってことだよね?
ああいう印を付けたってことはきっと、『触らせんな』っていうのは性的な意味で…。
…なんで?
なんであたしはサクヤにそんなこと言われるの?
恋人でもないのに?
自分は他の女とするのに?
……あたしは、『サクヤの物』ってこと…?
サクヤは昔から『オレ様』だった。
ほしい物は何でも手に入れようとするし、
意地悪で、ワガママで、理不尽な要求も度々してくるようなヤツだった。
それでも、あたしはサクヤに『物扱い』されてるなんて思ったことは一度もない。
サクヤは、意地悪言いながらも、あたしがホントにイヤがるようなことは絶対しなかったから。
初めてサクヤに抱かれたときだって、
サクヤは、ムリヤリしなかった。
ちゃんと、何度もあたしに聞いてくれた。
『イヤなら本気で抵抗しろ』とか『抵抗しないなら最後までヤる』とか言葉は悪いけど、ちゃんとあたしの逃げ道を作ってくれていて、
そういうホントは優しいところ、昔と変わってないんだってあたしは安心した。
すごくホッとした。
だからあの時、サクヤがあたしのこと好きじゃないってわかってても、あのままサクヤに抱かれたいと思った。
なのに。
…サクヤにとって、
あたしは『物』なの…?
あたしは、サクヤの『物』なの…?
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