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サクヤとミズホ【38ページ完結】
帰るね


あたしのおでこにキスを落として玄関に向かったサクヤがドアを開けると。
ズカズカと部屋に入ってきたのはキレイにお化粧したかわいい女の子だった。




「あー…今日だっけ…。」

「そうよ。」


完全に約束を忘れていたらしいサクヤの言葉に、女の子がクスクス笑い、




「あれ?お客様だった?」


あたしの存在に気付いて、申し訳なさそうにそう言うから。





…あたしは、なんだかひどく惨めな気分になる。




この子はサクヤの何?
どういう関係?
何の約束してたの?
部屋に入れるってことは…、



そういうこと…?







「ミズホ、悪いけどちょっと外に出…、」

あたしの頭の中に思い描いたことを肯定するかのように、申し訳なさそうに発せられたサクヤの言葉に、


「あたし帰るね。」

あたしは笑顔を作ってそう言った。



自分の荷物をつかみ、急いで部屋を出る。






サクヤの声が聞こえたけど、そんな言葉聞きたくなかった。


サクヤの口から、

あの子と約束があるから帰れとか、
外に出てろとか。

そんな言葉は聞きたくなかった。
だからあたしは必死に走った。




…これ以上惨めな気持ちになんてなりたくない…。






サクヤはあたしのことが好きなわけじゃないから。
サクヤとあたしは恋人なわけじゃないから、あたしは何も言っちゃいけない。

サクヤが他の人と何をしてようが、あたしは口を出しちゃいけない。



5日間、エッチ出来なかった自分が悪いのわかってる。
サクヤが、そういうお年頃なのも知ってる。



サクヤに初めて抱かれたときから、あたしとサクヤはそういう関係なんだってわかってたはずだった。


わかってたはずだったのに…、



頭のどこかで、やっぱりあたしは期待してしまってたんだと思う。




サクヤは他の人とはしないって。
サクヤはあたしとしかエッチしないって。



サクヤも、少しはあたしのこと好きでいてくれてるんじゃないかって…。




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あきゅろす。
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