サクヤとミズホ【38ページ完結】
おばけ?幽霊?
丑三つ時だかどうだかはわからないけど、サクヤに抱きしめられたまま眠りについたあたしは、夜中に不審な音で目が覚めた。
サクヤは、全く気にもせず、小さな寝息をたてて気持ちよさそうに眠っている。
ずっと続く不審な音。
いや…、声…?
女の人の声のように聞こえる。
泣き声のようだったり、
悲鳴のようだったり…。
ま…まさかここ…、
で…、出るの…!!!?
こわくなったあたしは、気持ちよさそうに寝ているのも構わず、サクヤの体を揺さぶった。
「サクヤ!サクヤ!!」
「………んだよ…。」
「ここ、出るの!?」
「…………なにが。」
ムリヤリ起こされて不機嫌そうに目を開けたサクヤは、眉間にシワを寄せて、聞き返す。
でも、こわくてたまらないあたしは、そんなこと気にしてられないから、
「おばけ!幽霊!!」
必死にサクヤに訴えた。
これでもかってくらい喚き散らすあたしを見て、はぁ〜っと深いため息をついたサクヤは、
「…ミズホ…、」
「な…なに?」
「起こすときは、もうちょっと色っぽく起こせ。」
吐き捨てるように言うと、あたしをもう一度抱き寄せてベッドにもぐった。
サクヤには、あれが聞こえないの…?
あたしにしか聞こえないの…?
…あたし…霊感あったんだ!?
すごいこわいんだけど!!!
どうしよう…!!!
また一人でお化けだか幽霊だかの声を聞くのかと思うと、恐怖であたしの体が強張る。
一晩中、一人で耐えなきゃいけないかと思うと、体が震えてきて…、
「……ミズホ…?」
「…こわい。」
「何言ってんだ。」
「おばけこわい。」
「…おい。」
「幽霊こわい。」
震えながら呪文のように繰り返した。
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