ノンシュガーバレンタイン【12ページ完結】
キス
フラれると思っていたシンイチが、あたしのこと好きだって言ってくれて。
張り詰めてた緊張の糸が切れて。
「なんで泣くんだよ。」
「……シンイチが、あたしに、好きっ、て言う、から。」
「イヤなのかよ。」
「…イヤ、なんて、言っ、てないし。」
あたしの目からは留まることを知らない涙がポロポロとこぼれていく。
「お前、その顔は…、いろんな意味でヤバイぞ。」
「…どんな、顔よ。」
「涙と鼻水でぐちゃぐちゃ。」
「……なっ…。」
「お世辞にもキレイだとは言えない。」
「…っ…ほっ…とい…、」
好きな人にそんな顔を見られたくなくて、シンイチに背中を向けようとしたのに、
「でも、すっげぇかわいい。」
シンイチが、あたしの目の下を優しく指で拭うから、あたしはその場から動けなくなる。
そして。
「拒否するヒマは与えねぇ。」
小さく笑ってそう言ったシンイチは、あたしの後頭部に腕をまわして、
「…んッ…。」
ホントに拒否する暇もなく、あたしの唇を塞いだ。
柔らかくて温かい初めての感触。
初めて抱きしめられる男の子の腕の中。
それだけでもう、あたしの心臓は壊れそうなくらいドキドキしてるのに、
シンイチはあたしの唇を舌でなぞり、あたしの唇を割って中に進入してくる。
「…んッ…、ふぁッ…。」
誰もいない放課後の教室で、思わず出てしまった初めて聞く自分の声に戸惑いながらも、
シンイチにされてることは全然イヤじゃない。
心臓がうるさくて、息なんてまともに出来なくて苦しくてたまらないのに、
イヤだなんてこれっぽっちも思わない。
あたしはもっとシンイチに触れていたくて。
少しでも近付きたくて。
腕をまわして、シンイチの広い背中にギュッとしがみついた。
瞬間―…、
「あ〜…。」
突然、シンイチが重なり合っていた唇を離したかと思うと、
小さく唸ってあたしを腕の中から解放し、目を背けた。
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