ノンシュガーバレンタイン【12ページ完結】
理由は何?
シンイチがあたしの手から袋を受け取る。
「それ、チョコじゃないから。」
あたしがそれを指差すと、
「なんだよ???」
シンイチが怪訝そうな顔で手に持った袋をまじまじと見つめた。
「開けてみればわかるよ。」
なんとなく自分から中身を言いたくなくて、そう言ってみたら、
シンイチは黙ったまま素直に包みを開け始め…、
「……ビーフジャーキー…?」
包みの中身が見えた瞬間、キョトンとそれを見つめて呟いた。
「チョコじゃないけど食べて。」
「…うん…?」
キョトンとしたまま、あたしが言った通りに封を開けてビーフジャーキーを一枚口に放り込むシンイチ。
不思議そうにあたしを見つめながらも、ビーフジャーキーを食べる素直なシンイチに、あたしの口元が緩む。
例え、今のこの時間がフラれる直前だとしても。
あたしにとって、シンイチと話せる時間というのはやっぱり、楽しくて、うれしくて、ドキドキするもので。
あたしは、ちょっと幸せな気持ちになれる。
「チョコじゃないのもいいでしょ?」
「………。」
さっきからずっと何か言いたげなシンイチは、ビーフジャーキーを飲み込んだ後も、まだ不思議そうにあたしを見つめていて。
「…で、ミキがバレンタインにチョコじゃなくてジャーキーくれた理由は何?」
真剣な表情であたしに問いかけた。
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