ノンシュガーバレンタイン【12ページ完結】
チクチク
シンイチと二人っきりになるはずの放課後。
…30分待っても、教室を出ていったシンイチはもどってこなかった。
あれは『約束』じゃなくて『冗談』だったのかもしれない…。
あたしが勝手に勘違いしてただけなのかもしれない…。
そう思い始めた頃。
「悪い…!遅くなった。」
少しぐったりしたシンイチが息をきらせて教室に入ってきた。
その手には、キレイにラッピングされたいくつかの袋や箱を持っている。
「チョコもらってたの?」
「ん。あっちこっち呼び出されてた…。」
…やっぱりシンイチはモテる。
今日あたしが目撃しただけでも、シンイチが受け取ったチョコは軽く10個以上あった。
あたしは、いつものように、
「いっぱいもらえてよかったねっ。」
冗談っぽく笑った。
つもりだったけど…、
それが皮肉に聞こえてしまうのは、シンイチがたくさんの女の子たちからチョコをもらったことに、あたしの胸がチクチクしてるからかもしれない…。
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