ノンシュガーバレンタイン【12ページ完結】
一ヶ月ぶりの会話
席替えをしてから一ヶ月ほど、ほとんど話してないのに、
「ミキ、俺にチョコくれないの?」
たまたまドア近くのシンイチの席の後ろを通ったあたしに、シンイチが以前とかわらずニッと笑って冗談っぽく声をかけてきた。
今までと少しもかわらないシンイチの話し方や笑顔に、一瞬ドキッとする。
…席が離れたから話にくいなんて変に意識しちゃってたのは、あたしだけらしい。
そうだと分かると、なぜ席が離れただけで話さなくなったのかもわからなくて、
「シンイチにあげるチョコはないっ。」
あたしも、以前とかわらないように冗談っぽくシンイチに返すことが出来た。
「じゃあ誰にあげんだよ。」
拗ねたように言うシンイチがちょっとかわいくて。
「誰にもあげない。チョコはね。」
笑いながらそう言うと、
「なんだよそれ、意味深。」
シンイチにつっこまれる。
「こんなところで言えないしっ。」
シンイチとの久しぶりのやりとりは楽しくて、
「じゃあ後で聞き出すっ。」
「お好きにどうぞ。」
以前のようにスラスラとシンイチと話が出来て、
「よし、放課後残れよ?」
「はいはいっ。」
あたしは今日。
…バレンタインデーの放課後。
シンイチと二人っきりになれるチャンスをもらった。
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